大九工務店

やがて、余計なものをすべてそぎ落とすかのような、単純にして質素な茶事が注目されるようになります。そこでは侘と寂という日本人ならではの感性が尊ばれました。 この侘と寂にはいろいろな解釈が存在し、これが正解というものはありません。ただ豪華絢爛な美の世界の対極にある、素朴で、歳月の過ぎゆくままに古びてゆく姿に美を見る境地。日本古来の「もののあはれ」にも通じる感覚です。 たとえば木の家具が何年もかけて傷んでいく様子、そうした身近な滅びの姿も侘と寂を感じるものといえます。茶の世界における寂という言葉は、錆と同じ意味合いを持ち、時の経過により自然に古くなってゆく様子を表わします。